1999年の設立以来、多くのアーティストやタレントのファンクラブサイトの運営に携わるナノ・メディア。
主催として初めて、社の看板を掲げたライブイベント「NANO Media presents N CROSS 2021」を開催した。会場は赤羽ReNY alpha。今回はその全てをレポートする。
【橋本理沙】
●セットリスト
01. White rabbit
02.各駅停車
03.豆苗
まず、オープニングアクトとしてステージに立ったのは、茨城県ひたちなか市出身のシンガーソングライター橋本理沙。
可愛らしいオーバーオール姿で登場すると、先ずは「White rabbit」「各駅停車」の2曲を披露。少女らしい軽やかな歌声で会場を包み、まるで陽だまりのような心地よい暖かさを堪能する。
続く「豆苗」で幕を閉めるが、彼女の素直さ、朗らかさがより顕著に現れていたのが、この「豆苗」という楽曲だと思う。
日々の暮らしを豆苗に重ねた詩と、思わず笑顔になってしまうポップなメロディ。
「落ち込んだり、へこんだりしても大丈夫!」というメッセージは、彼女が歌うからこそ確信に変わり、いつの日も背中を押してくれる歌になるのだろう。
【The Benjamin】
●セットリスト
01.SORA-Boeing229-
02.ビビデバビデブー
03.バリケード
04.バトンタッチ
05.BumbleBee
06.ブーツを脱いで
さて、今回のライブ、本編の先攻をつとめたのはThe Benjamin。
お決まりのSEと手拍子で幕を開けると、ツブク”Mashoe”マサトシ(Vocal , Bass)がメインボーカルを取るダンスロックナンバー「SORA-Boeing229-」でオープニングを飾る。
フロアが突き上げる拳には、声が出せない昨今の情勢を気にさせないほどの熱情が篭り、一気に会場がひとつになってゆく。
続けて「ビビデバビデブー」「バリケード」を披露し、半ば、ここで投下されたのが「バトンタッチ」。
メンバーが順に歌い紡いでいく希望のファイトソングにはどうしても心が揺れる。
「腕を伸ばし、明日の自分へバトンタッチ」、その詩の通りオーディエンスが手を伸ばし、彼らの歌を受け取る姿は、なんとも情緒的な光景だった。
この詩はミネムラ“Miney”アキノリ(Vocal , Guitar)、ウスイ“Tacky”タクマ(Vocal , Guitar)、ツブク”Mashoe”マサトシの三人で歌うことに意味があるのだと思う。
しっとりと余韻に浸る中、やはり“明るく、元気に、楽しく”を忘れないのが彼らである。
「BumbleBee」でハンドマイクに持ち替えると、一気に会場が明るく弾ける。体が弾んでしまい、勝手にポジティヴになってしまうのだ。
収まらぬ高揚感のまま、ラストは「ブーツを脱いで」で締め括り。
先が見えなくても楽しめる。「それもまたグー」で示したグッドポーズ。フロアいっぱいを見渡すバンドメンバーを見て、これが正解なのだと思った。
思わず前のめりになって手拍子をしてしまうほど、見るものを惹きつけるステージを魅せてくれた。
【怪人二十面奏】
●セットリスト
01.GGPG(ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム)
02.偶像破壊黙示録
03.FAUST
04.噫無情
05.一銭五厘ノ命ノ価値ハ
06.可不可
07.G,Jクローバー連続殺人事件
08.ダムド
続いて、赤いペンライトが会場を埋め、幕が上がり登壇したのは怪人二十面奏。
序開早々に放ったのは「GGPG(ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム)」。
攻撃的なサウンドで会場を満たし、お立ち台から恍惚とした表情でフロアを見下ろすマコト(Vo)。
勢いそのまま2曲目「偶像破壊黙示録」のイントロが響くと、メガホン越しの咆哮が頭上に降り注ぎ、それに呼応するかのようにKEN (Gt)がギターをかき鳴らす。
このバンドの圧倒的なセンスと揺るがない世界観に飲み込まれていくのをひしひしと感じる。
会場の空気が揺ぎ、続く「FAUST」では、音圧に負けないオーディエンスのレスを正面から受け止める二人の姿が見られた。
「説明するよりも音を聞いてもらって、怪人二十面奏をインプットしてもらいたい。
初めての人も、そうでない人も、思いっきりバカになってたのしんでいってください!」と言い放ち、ここからが彼らの真骨頂。
「噫無情」でメロディックなサウンドを聴かせたかと思えば、けたたましいサイレントともに「一銭五厘ノ命ノ価値ハ」「可不可」「G,Jクローバー連続殺人事件」と息をつくまもなく三曲を披露。
マコト、KENの表情ひとつ、動きひとつをとっても、もはや芸術の領域かと思う。
そして2021年を締めくくったのが「ダムド」。
赤と白のストロボが目の前でバチバチと弾け飛び、合間にマコトの鋭い視線が刺さる。
すでに会場が濃度の高いサウンドで満たされているというのに、お構いなしに今度は言葉の雨が降ってくるのだから、思わず熱が溢れてしまうのだ。
ラストを飾るのにふさわしいパフォーマンスに酔いしれ、狂気的な笑い声を余韻に怪人二十面奏のステージは幕を閉じた。
【流れ星☆】
●セットリスト
01.ネタ
02.岐阜ミーチャンス
入れ替わり立ち替わり、音の波に酔いしれたところで、登場したのが「流れ星☆」の二人。
「箸休め的な感じなので…」と前置いていたが、とんでもない。次から次へと溢れ出すお笑いギャグマシンのちゅうえいと、的確、且つどこか愛のあるツッコミをする瀧上。
ネタのテンポにオーディエンスを置いていかないスタイルが心地よく、フロアからツッコミを拾ったりと、その巻き込むスタイルは、まるで会話をしているような親しみやすさがあり、笑いを堪えきれない。
配信を見ている方に向けてたっぷりサービスをしたところで、ついに持ち歌である「岐阜ミーチャンス」を披露。
【ベッド・イン】
●セットリスト
01.♂×♀×ポーカーゲーム
02.Everybody 無敵!
03.男はアイツだけじゃない
04.We Are “BED・IN”
05.C調び〜なす!
06.ジュリ扇ハレルヤ(全出演者)
本日の大トリを務めるのは地下セクシーアイドルユニット、ベッド・イン。
「♂×♀×ポーカーゲーム」で早速、アイドルらしからぬ、攻めたサウンドを投下。
80年代末〜90年代初頭へのリスペクト精神を強く持つ彼女らのステージは、初見のオーディエンスには刺激が強すぎるか、と思えばそうではないのが大きな魅力。
続く「Everybody 無敵!」では、すでに誰一人取りこぼすことなく、ジュリ扇と手扇子がライブハウスを埋めているのだ。
カラフルなサウンドに思わず体がリズムを刻んでしまえば、視界一面にバブルが映る。全てがあの華々しい時代を想起させる、まさに最高のエンターテインメントだろう。
MCでも益子寺かおり、中尊寺まいは止まらない。性徒諸クン(ベッド・インのファンの総称)とフロアに呼びかけ「下半身のポケベルが鳴りっぱなし」から始まり、お決まりのバブルジョークを炸裂。
ハイセンスなキャラで会場中を虜にすると「男はアイツだけじゃない」で会場をさらに一つへまとめ上げ、「We Are “BED・IN”」ではフロアとステージが一体となり、綺麗なヘッドバンキングの海が広がる。まさに自身のバンド名を背負うに相応しい曲であろう。
そしてここでまたライブではお馴染みの「なにか物足りなくない?」とオーディエンスに問いかける二人。
…そうだ。クンピ(ピンク)色が足りていない。と言うことで恒例の生着替えを挟み、まさに二人のヴィーナスによる熱いステージ、ご機嫌なナンバー「C調び〜なす!」で改めてベッド・インというカルチャーを誇示。
本編最後では、本日本編に出演した3組を呼び込み、「ジュリ扇ハレルヤ」でやまだかつてないほどにステージもフロアも湧き上がり、見事な締めくくりとなった。
文◎まちこちゃん
写真◎Fumiyasu Mishima